2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
どうしたんだろう…


私は、自然に、樹さんの胸に飛び込んでいた。


泣きながら…樹さんの胸に顔をうづめて。


柊君…私、あなたのことが…本当に大好きだった。


でも…もう、全部、忘れなきゃ…


ずっとずっと、心が痛くて苦しかった。


柊君…お願いだから、私の心の中から消えて…


お願い…


消えて…


樹さんは、何も言わず、私を泣かせてくれた。


柊君のこと…忘れさせてよ、樹さん。


涙でぐちゃぐちゃの私の顔。


それでも、その顔をあげて、樹さんを見た。


すごくせつなくて、悲しい顔をしてる。


どうして、あなたはそんなに素敵なの…


もう、2人の感情は、お互いに、いっぱいいっぱいになっていた。


樹さんに顔を近づけたら、頬を両手で優しく支えてくれて…


そして、あなたは…


私に、優しくキスをした。
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