2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『柊君…大丈夫…?』


『…あ、ああ、うん、大丈夫だ…よ。そっか、知らなかったよ、2人で住んでるなんて…樹がそんなことするなんて、ちょっと…』


柊君は、樹さんを見た。


とても、悲しくて、冷たい目だ。


柊君…こんな目をするんだ…


『柊、悪い、俺のわがままで…』


そう言った瞬間、柊君が樹に掴みかかった。


その勢いで、樹は、テーブルの横に倒れ込んだ。


『止めて!何するの?』


思わず、私は叫んだ。


『お前は、僕から柚葉を取り上げるの?僕は、こんなに柚葉を愛してるのに』


柊君は、樹の上に乗っかり、襟を掴んでる。


樹さんは、されるまま、抵抗しなかった。


『殴っていい。柊の気が済むまで。俺は…お前の大切な人を好きになった。それは…殴られても仕方ないことだ』


その言葉に、柊君は、こぶしを上げた。


『お願い、柊君、止めて!』


私は、柊君の腕を掴もうとした。


『柚葉、離れてろ』
< 216 / 244 >

この作品をシェア

pagetop