2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『本当に全部好きだよ。入社試験で初めて柚葉を見た時から、ずっと可愛いって思ってた。優しい性格も、仕事をちゃんとこなしてるとこも、全部好きだ』


嘘みたい…本当に?


『気づいたら、もうどうしようもないくらい、柚葉を好きになってた。だからさ、告白した時にフラレたらどうしようって、かなりびびってたし』


『そんなこと…柊君をフルなんて…』


こんなに甘い言葉を並べられて、全然慣れてない私は、いったい、どんな顔をすればいいんだろ?


柊君は、それ以上何も言えなくてモジモジしてる私の手を、自然にまた優しく握り直してくれた。


私達は…また黙って歩道を歩き出した。


私の目から流れ落ちる物に気づかれないようにって、必死だったけど、でも…


すぐに気づかれてしまったみたいだ。


柊君は、空いている右手で頬を優しく撫でてくれた。


そして、そのまま両手で、私の肩を抱き寄せたんだ。


『柊君…』


歩道の上、私達は…ほんの数秒間抱き合った。
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