2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『お前さ、IT企業のIS(アイエス)の社長と結婚するんだってな』


『え…どうして…そんなこと?』


私は、震えながら、廊下に手をついて、ゆっくり立ち上がった。


『そんな情報なんて、どっからでも手に入る世の中だし。このマンションだって、大学時代のやつらから聞き出したよ。プライバシーもあったもんじゃないな。それにしても、お前、上手いこと玉の輿に乗ったよな』


佐藤君は、ニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべた。


『玉の輿なんて…そんなんじゃない、止めてよ』


『玉の輿だろ、完全に。あんなお金持ち、そうはいない。だからさ、お前だけ幸せになるとか、ズルくない?俺にもちょっと幸せ分けろよ』


意味不明だよ…


おかしくなっちゃったの?


本当に怖いよ。


どうしよう、柊君にも何も言ってないし…


『結婚したら相当な財産が手に入るんだから、裕福な暮らしが出来るだろ?ちょっとこっちに回してくれよな。俺、金に困ってるんだわ』


『相談って、そんなこと?どうして私があなたのために?私達、もう関係ないでしょ?』


『冷たいこと言うんだな。俺、お前の彼氏だったんだぞ』
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