2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
怖くて、涙が止まらない。


柊君…お願い助けて…


来るわけないのに、そう願った。


髪を引っ張られたまま、私はただ、ずっと怯えるしかなかった。


その時、ドアが勢いよく開いたんだ。


『何してるんだ!柚葉を離せ!』


『柊君!!』


どうして、柊君が?


『お前がこいつのフィアンセか。ヘナヘナしやがって』


そう言って、佐藤君は、私をまた押し倒してから、柊君に掴みかかっていった。


『逃げて!その人、強いから!』


必死でそう叫んだ瞬間、柊君はその攻撃をかわし、代わりに佐藤君のガッチリした体を掴んで、床に伏せさせた。


え…?


嘘…


『柚葉、警察呼んで』


『う、うん』


『いいのか、この写真見せても!』


佐藤君は、押さえつけられたまま激高した。


私は、ハッとした。


そのスマホを柊君が取り上げて、見てしまったから…


もう、終わりだ…


本当に、そう思った。
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