2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
私を守ってくれたあの姿、思い出すと、すごく強くて迫力があって、カッコよかった。


『柊君…すごく強いんだね。ちょっと、びっくりした…』


『そう?学生の頃、空手をね…これでも、都大会優勝したことあるんだよ。でも良かったよ。あの頃は何気なしにやってたけど、そのおかげで柚葉を守れたんだから。もし、柚葉に何かあったら、僕は…』


うつむく、柊君。


『ごめんね、本当に。私が…悪かったの。柊君に嫌われてしまうのが怖くて…でも、これからはちゃんと何でも話すから…許して』


『許すも何も、怒ってなんかないよ。それに、僕が柚葉を嫌いになるなんて、絶対に有り得ないから。柚葉に何もなくて良かったって、ただそれだけ』


顔を近づけて、優しく微笑んでくれた。


いつもの穏やかな柊君だ。


柊君の心の深さに、私はもう、ただただ、感謝しかなかった。


『本当に…ありがとう、柊君』
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