2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
空港について、私達は樹さんを待った。


きっと荷物が多くて大変だろう。


次から次に飛行機から降り立つたくさんの人々。


その中から、樹さんを探す柊君。


そして、柊君が大きく手を振りながら、叫んだ。


『樹!!ここ!』


1人の男性が、こちらを見た。


かなり遠くから、ゆっくり歩いて来る…


え?


近づいて来るその人の顔を見て、思わず息を飲んだ。


『嘘みたい…』


その人は、顔、背格好が柊君にそっくりだった。


『柊君が2人!?』


驚いて慌ててる私を見て、隣で柊君がくすくす笑ってる。


『おかえり、樹』


『ああ、ただいま、柊』


そう言う声までほとんど同じ。


ただ、柊君の声の方が優しくて柔らかい感じだけど、樹さんは…ちょっと冷静な感じかな…


『驚いた?柚葉』


『う、うん。すっごくびっくりした…』


あまりの似方に、まだポカンとする私。
< 38 / 244 >

この作品をシェア

pagetop