2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
兄弟の優しい時間
夜になって、仕事を終えた私達は、車で樹さんを迎えに行った。


3人での食事は、柊君が好きな和食にすることにした。


アメリカ帰りの樹さんにも日本食をとの、優しい気遣いでもあった。


和食料理店の個室に案内された私達は、靴を脱いで、お座敷に上がった。


奥に柊君と私が、手前に樹さんが座った。


何でも注文していいよって、柊君が言うと、樹さんがいろいろ頼んでくれた。


『今日は柊のおごり?』


樹さんが、言う。


『もちろん』


柊君が、答える。


『柊、日本酒、飲む?』


『いや、僕は運転があるから。樹は久しぶりだろ、日本酒。飲んだらいいよ』


その言葉に、樹さんは、私の方を見て言った。


『柚葉、お前運転出来ないのか?』


え!!


樹さん、今、私を呼び捨てにした?


いきなりでびっくり…


そのフランクさは、5年間アメリカにいたせいなの?
< 46 / 244 >

この作品をシェア

pagetop