2人のあなたに愛されて～歪んだ溺愛と密かな溺愛～

あなたの優しさに甘えて

それから、数日が経った。


プロジェクトは、まだしばらく終わらない…


柊君にも、みんなにも、やっぱり気まずさはあったけど、気にしてはいられなかった。


この仕事さえ終われば、私は…


この会社を去る。


柊君とも、二度と会わない。


早く忘れたいって、そう思ってる。


だから…今は、一生懸命、仕事を頑張ろう。


『柚葉…』


『どうしたんですか、樹さん』


時々、樹さんが声をかけてくれた。


可哀想な女を哀れんで…


それでも…嬉しかったし、救われてる。


樹さんと真奈には、本当に感謝してるんだ。


だから、2人に心配かけないように、早く…元気にならないとね。


『…明日、予定あるか？』


『明日は…特には…』


『だったら、付き合え』


『どこにですか？』


『明日、11時に駅で待ち合わせ』


それだけ言って、樹さんは、社長室に戻った。


社長室に、柊君の姿はなかった。