エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
みんなの視線が日菜子に突き刺さる。どうしてこのタイミングで彼が日菜子を指名したのか、不思議に思うのは無理もない。
日菜子だって、どうしてこんなことになったのか一番戸惑っているのだから。
今、拓海のアシスタントをしている脇坂の殺気の籠もった視線が、グサグサと突き刺さる。
たしか彼女は拓海のことがお気に入りだった。きっと今の状況を面白く思っていない。
けれど日菜子にそんなに敵意を向けられてもどうしようもない。
今この状況を一番受け入れたくないのは、日菜子なのだから。
普段どんな仕事を押しつけられても笑顔で応えてきた。しかし今回は黙っておくわけにはいかない。これからの人生に大きな支障をきたしそうだ。
日菜子は勇気をふりしぼり声をあげる。
「あの、わたしは今の仕事で精一杯でこれ以上増えるのは困ります」
仕事ができないと自分で申告することは胸が痛いが、背に腹は代えられない。
「そうですよ。松風さん今でも仕事が大変そうなのに、かわいそうです」
ここで脇坂が声を上げた。どういう気持ちでそう言っているのか考えると複雑な気もするが、ここは助け船だと思いたい。
「そうだよね~うんうん」
部長が意見を聞いてうなずいたのを見てほっとする。しかしそれも一瞬だった。
「でも部長、近々アシスタントの担当替えしたいってこの間の飲み会で言ってましたよね? あのとき、みんなも賛成していたし。ちょうどいい機会だしどうですか?」
拓海が思いついたように提案する。さっきまで日菜子にいい感じの話しの流れだったのが一気に変わった。