エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「たしかにそうだなぁ。こういうことでもないと、なかなかチャンスもないしなぁ」
「そうですよ。クリエイティブな職場なんですから、ある程度の変化と刺激がないと」
日菜子の最も嫌うもの〝変化と刺激〟を持ち出されて、げんなりする。
「そうだな。善は急げっていうから、今日中に決めて明日には発表するよ。あ、南沢、松風ペアは決定だから」
「ありがとうございます」
もうこうなってしまった以上、日菜子は何も言えない。
同じように納得していない脇坂が日菜子を睨んでいる。完全なる八つ当たりだ。
(ああ、もう……いっそ倒れてしまいたい)
日菜子が仕事戻ろうとした瞬間、拓海が「よろしく」とにっこり笑った。日菜子は聞こえないふりをして、能面のような顔をしてパソコンに向かう。それが今彼女にできる精一杯の抵抗だった。
となりの席の花はなぜだか興奮している。
「羨ましいぁ。南沢さんのアシスタントだなんて! わたしがやりたいです」
(わたしだって、代わってもらいたい!)
けれどそれを口にしたところで、もうどうにもできないだろう。
日菜子は愛想笑いを浮かべて、無の境地で仕事を片付けていった。