エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
 つい最近まで、周りの人間が信用できなかった。素顔を隠してなるべく人と深く関わらないようにしてきた。自分の気持ちを抑えつけて生きることが自分を守ることだと思って疑わなかった。

 今の自分には拓海はもちろんのこと、理解をしてくれて助けてくれる仲間がいると実感できた。

 拓海と出会えて自分を変えたいと思うようになり、少しずつ自分の気持ちを表に出すようにしてきた。

 そうすることで周りとの距離も縮まったと思う。

 いや、もしかすると周りはいつも自分に対して温かかったのかも知れない。それに気づかずにいたのは自分が周りをよく見ていなかったせいだったのだ。

 それに気づかせてくれたのは、今自分が抱きしめている愛しい人だ。

 お互いの体温を感じるまま、抱き合った。彼の腕の中がどこよりも安心できるとそう思えた。



 それから監査部で行われた脇坂へのヒアリングは深夜に及んだ。

 もう一度拓海のデータが狙われるかもしれないと思い、新しいデータは全て部長権限で別のサーバーに移動させダミーのデータをいくつか元の場所に保存する。

 そしてそのデータへのアクセス解析を行ってもらうと、何度も日菜子のアカウントからのアクセスが確認された。

 もちろん彼女は謹慎中だ。データを扱うことなど不可能。

 そこから情報システム部が日菜子のパソコンを調べたところ、バックグラウンドで動く遠隔操作のソフトはインストールされていることがわかったのだ。

 すぐにサーバーを予備のものに切り替え、その事実を部署全体に伝える。
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