エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
週末金曜日。
終業時刻も過ぎ一時間ほどたったあたりで、やっと目処がたった。これなら来週に残しても大丈夫だと思いほっとしているところに、外回りから帰ってきた拓海が現れたのだ。
その時点で嫌な予感はしていた。だからさっさと片付けをして美穂のところにでもいこうと思っていた矢先、その予感が的中する。
「仕事終わった? だったらつき合って」
「え? いや、わたしこの後予定が――」
「どうせ、わかばにでも行くんだろうけど、それは今度にしろよ。もう店予約してるから、行くぞ」
拓海はバックを持つ日菜子の手を掴んだ。
「ちょっと待ってよ!」
抵抗する日菜子の耳元に、背をかがめた拓海の唇が近づく。
「嫌ならここで、俺の事をぶん投げればいいだろ?」
「……っ!」
ばっと、勢いよく拓海の顔を見ると、ニヤリと悪い笑みを浮かべている。
「さあ、どうする?」
判断を委ねるセリフだが、秘密を握られている日菜子に選択肢はない。
「行けばいいんでしょ……もう」
まさか仕事以外でも拓海に振り回されることになるとは思っていなかった。がっくりと肩を落とした日菜子と対照的に、拓海は愉快そうに肩をふるわせていた。