エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「たしかに……南沢くんと一緒にいると楽しいんだよね」

 素直に口にすると、美穂の笑顔が深まった。

「そっか、そっか。一度会っただけだから、よく知らないけど。でもイケメンだったよね~それに仕事もできるなんて優良物件じゃない」

「ちょっと、そんな言い方。まあでも……なんでわたしなんか誘ってくるんだろうな……とは思うんだけどね」

 拓海は誰がどう見ても美穂の言うような〝優良物件〟であることは間違いない。かたや日菜子は女性としては多くの男性が気にも留めない〝スルー物件〟だ。

 昨日は日菜子の出したアイデアが先方に喜ばれたからという理由があった。それにしても、別に食事までおごるようなことではないはずだ。

 飲みに行きたかったという理由なら、金曜日は脇坂たちの飲み会に誘われていたのだから、そっちに参加すればよかったわけで。

 どう考えても拓海が日菜子を誘った明確な理由がわからない。

「本人に聞かないとわからないわよ。知りたいなら自分で聞かなきゃ」

「それはもちろんそうなんだけど……」

 どういう答えが帰ってくるのか、それを聞いて自分がどう思うのか。想像ができずにいた。

(からかってるだけ……なんてことになったら、立ち直れないかも)

 ビールの入ったグラスに唇をつけて思わず考え込んでしまう。

「また、なにか余計なこと考えてる! ほら、もういいから食べよう」

「そうだね! うん。今日の唐揚げ美味しくできたんだ。食べてみて」

 気を取り直したふたりは、その日流しそうめんを楽しみ、グラスを重ねてガールズトークに花を咲かせた。

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