エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
しかし拓海は特に気にした様子もなく、だた景色を眺めているように見えた。
(わたしだけ、意識しちゃってるんだ)
気づかれないようになるべく普通にしようと努力するけれど、頬が赤くなる。観覧車の中は薄暗いので気づかれないことを祈る。
「火傷の痕、残らなかったんだな。よかった」
ガラスにつけていた日菜子の左手を見て拓海がつぶやいた。
「うん。すぐに斎藤さんが手当をしてくれたから。南沢くんのおかげだよ」
「別に俺は、なんにもしてないだろ。何かしようと思っても、松風はいつもひとりで抱え込んで、俺に話してくれないんだからな」
「……そういうつもりじゃ」
「じやあ、今日は何があってあんなに落ち込んでいたのか、俺に教えて」
帰り際の脇坂の言葉を思い出した。しかし生きていればあれくらいの悪口を言われることもあるだろう。だから大げさだと思われそうで言いづらい。
「ちょっと、きつく言われただけだから、平気だよ。前にも言ったけどわたし強いからいざとなったら――」
「またそうやて強がる。平気じゃないだろ、あんなつらそうな顔して」
拓海の手のひらが日菜子の肩にそっとのせられた。