エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~


 職場を出る前に傷ついてしまっていた心は、拓海によってすっかり元気になっていた。

「じゃあ、月曜日にね」

「ああ」

 日菜子は名残惜しくもマンションのエレベーターに向かう。オートロックを解除してから振り向くと、拓海はまだ彼女を見ていた。

 軽く手を振ると、大きく振り替えしてくれた。

 うれしくて緩む頬を見られないように、すぐに開いた扉の向こうへと歩き出した。

 エレベーター前かはら拓海が立っていた場所は見えない。

 ちょっと残念な気持ちで、エレベーターに乗り込み三階で降りた。部屋の前まで来て、ふとさっきまで拓海が立っていた場所に目をやると、なんと彼はまだその場にたっていたのだ。

 向こうも日菜子が顔を覗かせたのに気がついたようで、街灯の下で大きく手を振っている。

 思わず日菜子も手を掲げて、思いっきり振り返す。

 暗がりで表情まではわからない。けれどきっと笑みを浮かべているだろうと想像すると、胸の奥が甘く疼く。

 しかしいつまでもこうしていると、拓海が帰ることができない。 

 日菜子は後ろ髪を引かれる思いで、鍵を開けて部屋に入った。
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