あやかし神社へようお参りです。②


 「かげぬい、これが結界?」

 「ええ、そうです。今巫女さまが触れておられる物が」


 湧き水のように澄み切った水に触れているような感覚だった。清らかで、穢れのないものだ。

 すぐにこれを破るのは無理だろうと察しがついた。


 「あの、巫女さま。申し上げにくいのですが、三門さまでもこれを破るのは苦戦なさるかと……」

 「そう、だよね。ああ、“どこかに穴が開いていたりしないかな“」


 そう呟いたその瞬間、背筋がぞわりとしてお腹の底がかっと熱くなった。突然の変化に小さな悲鳴を上げる。その場に尻もちを付いた。

 かげぬいが驚いたように宙を見たまま固まっている。


 「……驚いた、巫女さまは底知れぬ力をお持ちのようだ」

 「え?」


 かげぬいは私に手を差しだして立ち上がらせた。そして宙を指さして見せる。


 「穴が、開きました」

 「あ、開いたの? どうして急に……。でも幸運だ、かげぬい、そこから入れそう?」


 かげぬいは一つ頷いた。そして頭を下げて身をかがめると、トンネルをくぐるようなしぐさで前に進む。

 一定の所まで歩いていって、そして状態を起こし振り返った。


 「もう大丈夫みたいです」


 よし、と小さく拳を作って、急いでかげぬいに追いついた。


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