あやかし神社へようお参りです。②
ストールを肩にかけ、部屋の中から顔を覗かせたおばあさんに賀茂くんは顔の色を変える。
「窓を閉めて下さい、屋敷に妖が入り込んでいますッ」
「だから違うんだってば!」
私がそう声を張り上げると、おばあさんは驚いたように目を丸くして私を見る。
「貴方は、忠敬さんのお友達の」
「おばあさんに会わせたい人がいるんです……っ」
そう叫んでかげぬいの背中を思い切り押した。よろめきながらおばあさんのいる窓の前へ出たかげぬい。おばあさんは少し戸惑うように私とかげぬいの顔を交互に見た。
血相を変えて走ってくる賀茂くんを体当たりするように止めた。離すものかとその腕を掴むと、目を吊り上げた賀茂くんが振りほどこうと容赦なく暴れる。
「お願い、少しでいいから邪魔しないでっ」
両腕に力を入れたその時、「忠敬さん」とおばあさんが賀茂くんの名前を呼んだ。ひどく顔を顰めながら視線を向けた賀茂くん。力が少しだけ緩む。
「この屋敷の門は、本当に歓迎しないものは入ることができません。けれど、この方は入ってくることができた」
「それは、こいつが結界を破ったからっ」
きっと私を睨みつけた賀茂くん。一瞬怯んでしまったが、かまうものかと手に力を籠める。