あやかし神社へようお参りです。②
「あの、はい、入部届は今週中にお願いします……」
朝のショートホームルーム中だった。担任の水童先生の消え入りそうな声でそう言いながら、入部届と書かれた紙を配る。
生物を担当する水童先生はいつも顔色が悪い。あの顔色の悪さは青いというより緑いと表現した方が適切かもしれない。そんな顔色だけれど、普段はにっこりと笑っているものだからクラスの女子の何人かからは「不気味」と囁かれている。
部活かあ、と窓の外を眺めた。
生徒の自主性がどうとか、という理由で、私の通う高校では全生徒が部活動に参加しなければならない。
先日体育館で「部活動紹介」が行われて、先輩たちのスピーチや発表を見学してから、部活動選びが悩みの種のひとつだった。
後で詩子と雪ちゃんにも聞いてみよう。
そんなことを考えながら机の中に紙をしまった。丁度チャイムが鳴り響き、一限目が始まるまで十分の休憩時間になる。
教室を出て行く水童先生に続いて外に出ると、先生は「ああ、中堂さん」と振り返ってにっこり笑った。なんとなく並んで廊下を歩く。
近くで見ると余計に具合が悪そうに見えた。