あやかし神社へようお参りです。②
私たちは中へ案内された。独りで暮らしているのか、無駄なものがない部屋だった。仁吉さんとは大違いの態度で私たちを心から歓迎してくれた六花さん。
「その子たちは、蛍雪の友達かい?」
茶菓子に湯飲みを並べる六花さんは柔らかな表情でそう尋ねる。
「人間の、おれの友達。それから、いまは富岡蛍助」
驚いたように目を丸くした六花さんは「そうか」と少しだけ寂しそうな顔で微笑んだ。
「あ、あの、六花さん。私たち仁吉さんに言われてここへ来たんです」
「ああ、雪童子の日射病の薬だね。最近届けたばかりなんだけれど、もう切らしたのかな」
膝をついて立ち上がった六花さんはごそごそと棚を漁り始めた。沈黙が流れる。
ちらりと富岡くんを見た。言葉に迷うように視線を彷徨わせている。すると隣に座っていた雪ちゃんが富岡くんの手にそっと自分の手を重ねた。目を瞬かせた富岡くんは、少し安心したように表情を和らげてひとつ頷いた。
「兄や」
六花さんは背を向けたまま動きを止めた。