あやかし神社へようお参りです。②
「ひどいこと言って、勝手に家を飛び出して、ごめん」
小箱を抱えた六花さんがゆっくり振り返る。
「兄やの言った通りだった。辛い事ばっかりだったし、忘れられていくのが虚しかった。でもこうして、雪童子の俺を受け入れてくれる友達ができたよ。俺のこと心配して駆けつけてくれる家族もできたよ」
六花さんは目を細めて頷いた。
「雪子、泣きたくなるくらい温かいんだよ。熱いのは嫌いだけど、温かいんのは好き。雪子はもっと大好きだ」
「蛍雪────蛍助は、たくさんのひとに支えられているんだね」
「うん。たくさんの人が俺のこと助けてくれたよ。でも、たまにすごく寂しくなる」
富岡くんは恥ずかしそうに肩を竦めた。
「兄やに会いたくなる。だから、また遊びに来てもいい?」
六花さんは富岡くんの前に膝を付くと、震える手で抱きしめた。
「いつでも帰っておいで」
うん、と湿った声で頷いた富岡くん。詩子たちと顔を見合わせて「やったね」と手を取り合って笑た。