あやかし神社へようお参りです。②


 入口の傍に立ってつま先を見つめながら待っていると、突然頭に影が差した。顔をあげると、相変わらずの無表情で賀茂くんがそこに立っていた。


 「賀茂くん……?」

 「邪魔」

 「ご、ごめん」

 慌てて横にずれると、賀茂くんは私を一瞥して扉に手をかける。その時、丁度中から出てきた三門さんたちと鉢合わせする形になった。

 「あ、」と呟いた三門さん。賀茂くんの顔がわずかに引きつった。

 暫くそのまま固まっていた賀茂くんは、意外にもふたりに丁寧に頭を下げ「お疲れ様です」と挨拶をする。そして返事を聞く前にすたすたと中へ入っていった。


 「相変わらず、賀茂のくそガキは愛想わりぃな」


 健一さんがぴしゃりと閉まった扉にケッと顔を顰める。


 「僕たちがOBだって知った時、般若みたいな顔してましたもんね」


 楽しげにそう言った三門さん。

 これって笑うところなんだろうか。


 「さ、お待たせ麻ちゃん、帰ろうか」


 そして私たちは歩き始めた。

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