あやかし神社へようお参りです。②


 右足と左足のわずかにあいた隙間にカッターが刺さっていたのだ。上から叩き付けなければできないほど、床に深く突き刺さっている。


 「なんか、スマホ探してたら机の上から落としたみたいで」

 「落とした……? ほんとに?」


 詩子に手を貸して立ち上がらせる。


 「待って麻。これ、何……」


 詩子が突然私の二の腕を掴んだ。わずかにその手が震えている。詩子が指さした先に視線をやって、顔をひきつらせた。


 「破れてる、どうして……」


 昨日の夜に写真で送られてきた時よりも、御札の黒い部分が増えている。刃物で切り付けられたようにふたつに裂けていた。

 ぞわりと背筋に冷たいものが走る。悪い予感がした。


 「詩子、直ぐに部屋を出よう」


 詩子の両手を握りしめてそう言った。戸惑いながらも頷いた詩子の手を引いてドアに向かう。ドアノブに手を伸ばしたその瞬間、私の鼻先で勢いよくそのドアが閉まった。


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