あやかし神社へようお参りです。②
詩子が私の背中で息を飲むのが分かった。ドアノブを強くガチャガチャと回すも、ピクリとも動かなかった。背後でかたかたかたと何かが揺れる音がして振り返る。本棚の本が、ペン立てのペンが小刻みに揺れている。
本能が警鐘を鳴らしている。
「ねえ麻どういうこと!? 何が起きてるの!?」
詩子が私の腕をゆすった。ひどく戸惑っている。
「大丈夫だよ。落ち着いて、息を吸ってみて」
詩子の両手を握りしめて、自分にも言い聞かせるようにそう言った。深呼吸をすると、今にも爆発しそうなほど波打っていた心臓が少しだけ落ち着いた。
「三門さんが私の傍にいる限り大丈夫だって言ってたの。詩子、スマホある?」
泣きそうな声で「ある」と言った詩子は、ジーンズのポケットにねじ込んでいたスマートフォンを取り出す。
「三門さんに連絡しよう。たぶんすぐ近くまで来ているはずだから」
震える指で画面を叩いた詩子、スマートフォンを耳に当てた。電話は直ぐにつながったらしく、詩子は縋りつくような声で話し始める。