あやかし神社へようお参りです。②


 三門さんを待っていると、詩子が怪我をしてしまうかもしれない。考えたくもないけれど、取り返しのつかないことになる可能性だってあるんだ。

 守れる力を持っているのは、私なんだ。

 床に落ちているスマートフォンを拾い上げた。


 『麻ちゃん、返事してっ、麻ちゃ……』

 「三門さん、どうやって唱えればいいんですか!」


 三門さんの言葉を遮った。震えを誤魔化すように、お腹の底に力を入れて叫ぶように尋ねる。

 一瞬の間があく。


 『……優しい声で歌うように唱えて。神さまに感謝の気持ちを伝えて、力を貸してくださいって思いながら唱えるんだよ』

 「わかりました」


 涙が出そうだったけれど、きつく目を擦って流れてくる前に止めた。視界が曇れば、祝詞が見えなくなってしまう。


 『絶対大丈夫。きっと彼らが力を貸してくれるから。麻ちゃんならできるよ』


 その言葉を最後に通話が終わった。しゃがみ込む詩子の肩を抱き寄せる。部屋の窓が軋み始め、揺れが激しくなる。私は息を飲んだ。

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