あやかし神社へようお参りです。②
「あ、ご、ごめんね」
慌てて謝って男の子の顔を見上げる。涼し気な切れ目が印象的な、とても端正で知的な顔立ちをした男の子だった。
大人びた雰囲気だったので先輩かと思ったけれど、学ランの詰襟についた校章の色が同じだったので、同じ学年なのだと分かった。周りにいたクラスメイトの女の子たちが「わっ、イケメン」と呟くのが聞こえる。
彼はちらりと私を一瞥すると、少し目を見開く。もう一度謝ると、彼は何かを言おうとしたのか口を開きかけたが、直ぐに閉じてしまう。私を見下ろして、スタスタと廊下を歩いていってしまった。
「何あれ、賀茂くんって感じ悪いんだね」
ちょっと唇を尖らせた詩子が、彼が歩いていった方にべっと舌を出す。
「賀茂くん……? 詩子の知り合い?」
「違う違う、噂のもうひとりだよ、賀茂《かも》忠敬《ただのり》くん」
なるほど、彼がそうだったのか。
もう随分と先を行ってしまった背中を見つめる。仲良くしたいと思っていたけれど、できそうにないなと苦笑いを浮かべた。