あやかし神社へようお参りです。②
私と目が合うなり、ふたりは一層ぼろぼろと涙をこぼした。
「巫女さまっ……! 母さんが、先に行けって、先にって言ったのっ」
「待ってるのに来ないの~~っ」
うわあ、と号泣しながら私の腰に抱きついたふたり。困惑しながらも「大丈夫だよ」と小さなその頭を撫でた。
「どこへ行くつもりだったの?」
「お、おやしろっ」
お社? と首を傾げた。今は丁度十二時を少し過ぎた時間帯だ。妖たちの時間では真夜中のはず。大人の妖はさておき、妖狐の兄弟のような子どもの妖は眠っている時間のはずだ。
「みんな、おやしろに逃げるの」
「三門さまに助けてもらうの」
鼻を啜りながらそう言った兄弟。
逃げる、という言葉に眉根を寄せる。じゃあこの走っている他の妖たちも、何かから逃げるために社へ向かっているということなのだろうか。
とりあえず一緒に行こう、とふたりの手を取って私も走り出した。