しあわせ食堂の異世界ご飯4
一 生姜焼きのライスバーガー
一 生姜焼きのライスバーガー
うららかな春の暖かさに段々と夏の暑さが混じり始めたころ、『しあわせ食堂』から十分ほど歩いた場所で大規模な工事が開始されていた。
今まではちょっとした広場だったのだが、周囲にあった建物も取り壊されている。
いち個人が何か始めるにしては、ちょっと広すぎる。かといって、貴族が何かするには庶民が暮らす地域なので立地がよくない。
建てているのは二階建ての大きな建物で、当てはまるものといえばそう多くはない。もしかしたら宿屋じゃないか? そう、国民たちが噂をする程度だった。
しかし工事から数週間が経っても、特に建設に関する発表はなかった。
いったい何を作っているのだろう? 多くの住民が疑問を持ったころに、その内容が国から発表された。
工事現場にお知らせの看板が立ち、各所でも内容の書かれたチラシが配られるようになった。
それを見た人たちは、まさか……と、驚きを隠せない。
「おいおい、こんなものを作るなんてどういうつもりだ」
「うーん……いいじゃねえか、もう戦争はしないってことだろ?」
「そうかもしれないが……だからって、なぁ」