しあわせ食堂の異世界ご飯4
 アリアの胸に不安がよぎるけれど、すぐにそれは杞憂だったということがわかる。なぜなら、ナタリーの顔がお日様のような笑顔になったからだ。
「すごい、すっごーく美味しい! こんなご飯、食べたことないよ!」
「本当? よかったぁ」
 ナタリーは食べ進めるために、もう一度フォークでナポリタンをすくう。けれど麺なので上手くすくえずに、フォークの隙間からするりと落ちてしまう。
「あ……」
「ナタリーちゃん、フォークを立てて、くるくる~って回してごらん?」
「くるくる?」
 アリアの不思議なアドバイスに、ナタリーは少し考えながら頷いた。きっと、くるくるしたらどうなるか予想することができなかったのだろう。
 小さな手で握ったフォークを小皿の上に立たせて、くるりと両手で回転させていく。すると、ナポリタンの麺が上手い具合にフォークに絡め取られた。
「わぁっ、すごい! フォークにご飯がついてきた!」
「すごいです! わたしもやってみます」
「ララもやるよ!」
 すぐにリズとララもフォークを立てて、ナポリタンを巻きつける。
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