しあわせ食堂の異世界ご飯4
 リズは小さくまとまったけれど、ララは巻きすぎて大きなナポリタンの塊ができてしまっている。
 アリアは内心であるある~と思いながら笑いを堪える。
「あー! ララちゃんは巻きすぎだよぉ」
「そういうナタリーちゃんだって、大きいよ!」
 ふたりは言い合いながらも、声に出して笑っている。
「美味しいね、この、ええと……なぽいたん!」
「違うよ、ナポリタンだよ!」
 上手く言えずに噛んでしまったナタリーに、年上のララが料理名をきちんと言い直して教えてあげている。
 しかし何度か繰り返すも、ナタリーには難しかったらしく『なぽいたん』のままだ。
(舌ったらずで可愛いなぁ……)
 微笑ましい子供たちとは別のテーブルで、カミルの「うめぇ!」という声があがった。大人たちは、熱々の鉄板から直接ナポリタンを堪能しているようだ。
 そしてずっと気になっていたようで、カミルはさっそく目玉焼き部分にフォークを伸ばした。半熟になっている黄身の部分にプスッと刺すと、すぐにとろとろと卵がナポリタンの上にかかる。
「うわっ! すげぇ……!!」
 最後まで焼かないと、目玉焼きはこんな風になるのかとカミルが感動している。
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