しあわせ食堂の異世界ご飯4
 リベルトは頭をかきながら、紅茶を手に取った。すっかり冷えてしまった体が、少しだけ温まる。
「そうですね。騎士や女官を連れていって、実際の仕事を説明したりしますが……そもそもの話、人がこなければ意味がないですから」
 言葉は悪いが、何か餌が必要だ。
「いっそ、粗品でも配りますか?」
 それなら、そっちお目当てでそこそこの人数が集まってくれるかもしれない。
 ローレンツの提案は確かにありだが……入学してもらうことを念頭に置くと、難しいような気もする。
「可能なら、その餌があるからこそ入学したいと思わせられたらいいんだがな」
「入学後にも継続して得られる餌……」
 しかしそれが簡単に思いついたら苦労はしないわけで。
 子供も、親も、両方が学園に通うことでのメリットがあると思うことが大切だ。それができれば、生徒の数は自然と増えていくだろう。
「しばらく考えてみるとしよう」
「ええ。……ああ、そうだ。発想を柔軟にするために、しあわせ食堂へ足を運んでみたらいかがですか? 少しは落ち着くと思いますよ」
「……考えておく」
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