しあわせ食堂の異世界ご飯４

　店主に話しかけられ、アリアとシャルルは挨拶を返す。
　まだ二十代前半の青年で、頭にタオルを巻いている。うっすら焼けた肌を見ると、漁師をしているのだろうと推測できる。
「大好きです、しらす。店主さん、一袋お願いします」
「まいど！　いやぁ、嬉しいよ買ってくれて。実はまったく売れなくてさ、困ってたところなんだ。少しサービスしておくから、ぜひまた買いにきてくれ」
「わ、ありがとうございます！」
　アリアが受け取る袋の中に、さらに半袋ほどのしらすを追加で入れてくれた。これなら、今夜は豪華なしらす丼を作れそうだ。
（キュウリと一緒に酢の物にしたり、卵焼きに入れて焼いたりしても美味しいだろうなぁ）
　それとも、もっと違う料理がいいだろうか。せっかくだから、しらすピザというのもありかもしれない。
　あとは何がいいだろうと、アリアは考える。
「おにぎりもいいけど、しらす炒飯もいいかもしれないわね」
　しかしよくよく考えると、しらすを使った料理は思ったよりも種類が少ない。
　ちょっとした食材として足すことはよくあるけれど、メインに使っているとなると……やっぱりしらす丼が真っ先に浮かんでくる。