しあわせ食堂の異世界ご飯4
 楽しそうに料理を考えているアリアを見て、店主の青年は呆然とアリアを見る。
「あんた、もしかしてしらすに詳しいのか?」
「え? うーん、そこまでって言うほどではないですけど」
 少しだけならと、アリアは店主を見る。
(もしかして、漁を開始したけど調理方法があんまり知れ渡ってないのかな?)
「もしよかったら、簡単な料理方法を何か教えてくれないか? このまましらすが売れないと、せっかく始まった事業なのに潰れちまう……」
「店主さん……」
 切実な店主の声に、アリアはどうにかして解決してあげたいと思う。
(それに、これはリベルト陛下の事業だもの。成功してほしい)
 しらすのお手軽調理方法といえば、ふたつ。
 そのまま食べるか、フライパンで炒って『じゃこ』にしておかずとして食べるかだ。
 でも、しらすの流通は始まったばかり。まずは、素材そのままの味をみんなに知ってほしい。
「店主さん、しらすと一緒に軽食販売はできませんか?」
「え? 屋台みたいに……ってことか? それはもちろん、届け出をすればできるけど……」
< 159 / 202 >

この作品をシェア

pagetop