しあわせ食堂の異世界ご飯4
 信頼してくれているカミルの返しに、アリアは微笑む。
 ぽんっと手首を上手く使って、卵焼きを仕上げる。そのまま皿に盛りカウンターテーブルへ運ぶと、料理を頼んだ人物はアリアの見知った顔だった。
「門番さん、きてくださってたんですね」
 アリアが門番と呼んだ男性は、この国の兵士だ。王城で門番仕事をしているときに出会ったので、その呼び方が定着している。
 まだ二十代前半と若く、比較的歳の近いアリアは話しやすいと思っている。少し癖のある髪と、あどけない表情も親しみやすく好印象だ。
 そのほか、王城からアリアに何か連絡があったときも間に入ってくれたりする。
 門番は嬉しそうにはにかみ、アリアの言葉に答える。
「はい。仕事の都合で頻繁にくるのはちょっと難しいんですが、こられる日は可能な限りきてます!」
 カレーを食べながら話してくれる門番に、アリアも笑みを返す。
 王城で兵士という仕事をしているため、夜勤もあって休みの日が不定期なのだ。そのため、しあわせ食堂にもタイミングのあった日にしかこられない。
「ありがとうございます。ご注文いただいていた、卵焼きです」
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