しあわせ食堂の異世界ご飯4
(確かに料理ができないとなると、調味料だけ持ってても困っちゃう……?)
この世界でひとり暮らしをしている男性は、あまり自炊というものをしない。
外食で済ませることが多いし、門番の場合は仕事中の食事は王城の食堂で食べることができる。
そのため、家にはコップなど最低限の食器しかないという。
(お味噌なら野菜をつけて食べることもできるけど……それだとお母さんの料理じゃないもんね)
そう考えるアリアが思い返すのは、前世の母親の手料理だ。残念ながら、今生の母親は王妃であるため料理を行わないが……。
たとえば何気ない朝食の焼き魚や、学校に持っていったお弁当。気をぬくと茶色のおかずだらけになってしまうと笑って、いつも彩りには気を遣ってくれていた。
(……って、このまま思い出してたら泣いちゃいそう)
アリアは軽く頭を振って、味噌の話題に思考を切り替える。
「お母様の料理は、やっぱり忘れられない味になりますよね」
「はい。遠いので、そうそう里帰りもできなくて」
どうせなら味噌と一緒に作り方のメモもつけておいてくれたらよかったのにと、門番の口から文句がもれる。
この世界でひとり暮らしをしている男性は、あまり自炊というものをしない。
外食で済ませることが多いし、門番の場合は仕事中の食事は王城の食堂で食べることができる。
そのため、家にはコップなど最低限の食器しかないという。
(お味噌なら野菜をつけて食べることもできるけど……それだとお母さんの料理じゃないもんね)
そう考えるアリアが思い返すのは、前世の母親の手料理だ。残念ながら、今生の母親は王妃であるため料理を行わないが……。
たとえば何気ない朝食の焼き魚や、学校に持っていったお弁当。気をぬくと茶色のおかずだらけになってしまうと笑って、いつも彩りには気を遣ってくれていた。
(……って、このまま思い出してたら泣いちゃいそう)
アリアは軽く頭を振って、味噌の話題に思考を切り替える。
「お母様の料理は、やっぱり忘れられない味になりますよね」
「はい。遠いので、そうそう里帰りもできなくて」
どうせなら味噌と一緒に作り方のメモもつけておいてくれたらよかったのにと、門番の口から文句がもれる。