しあわせ食堂の異世界ご飯４
　アリアが学園に通うことはないし、身近にもそういった子はいない。見ている限り、事業は順調に進んでいるだろうと、アリアは思っている。
（カミルに幼い兄弟がいたら、またいろいろ気になることがあったかもしれないけど）
　そういったこともない。
　ただ、ひとつ気がかりなことがあるとすれば――
「子供の親御さんの反応は、どうですか？」
「……アリアはなんでもお見通しなのか？　正直に言ってしまえば、雲行きはあまりよくない」
　以前、大工のマイクとジャンに聞いたことが現実のものになってしまったようだ。子供も大事な働き手だから、学園に通わせる親は少ないかもしれないと。
「将来的に見れば人材が育つし、家庭にとっても国にとってもプラスになる。……が、それは現在の生活スタイルを崩すことになる」
　子供の手伝いがなくなると収入が減り、家事をしてもらっていた場合はその分働きに出ていた母親の時間が削られてしまう。
　貴族であれば問題ない制度かもしれないが、いきなり平民に浸透させるには厳しかったようだ。
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表紙・目次

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