しあわせ食堂の異世界ご飯4
「今まで、しあわせ食堂ほど行列のできた飲食店は見たことがありませんでしたから。ほかの経営者がやる気を出したり、人気店を夢見て屋台や店を始めたりした人も多いと思いますよ」
 本当にしあわせ食堂の影響で飲食関連のお店が増えたかどうかはさておき、食の文化が発達することは、アリアにとってとても嬉しいことだ。
(お味噌とか、魚とか、まだ見たことのない特殊な食材とか……これから取り扱いが増えるかもしれない!)
 それなら、いくらでも自分を追いかけてきて飲食店を始めてほしい。なんなら、そのためのレシピを公開することや、講習会を開いてもいいかもしれない。
(って、さすがにやりすぎか……)
 けれどいつかは、基本的な部分のレシピは共有できるようにしたいとは思っている。ひとまず、カミルが独り立ちをして、しあわせ食堂が安泰になるまでは待ち……だろうか。
「私としては、もっと飲食店が増えたらいいと思っていますよ! そうしたら、美味しい料理や新しい料理も増えていくでしょうから」
「それが楽しみで仕方がない、という顔ですね」
 普通は独り占めしたがるものなんですがと、ローレンツは微笑む。
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