しあわせ食堂の異世界ご飯4
 いや、リントには敵わないだろうという思いが、心のどこかにあるのかもしれない。
「……どうしたのカミル、肩を落として」
「えっあっ、いや、なんでもない!」
 まさかアリアのことを考えていましたなんて、バカ正直に言うわけにはいかない。カミルは笑ってごまかしながら、ハンバーグの成形を進めていく。
「そう? 今日の朝ご飯は、お味噌汁も作っちゃおうっと!」
 カミルは朝の仕入れがあることも多いので、朝食は基本的にアリアが担当している。しかしその分、料理の仕込みは積極的に行ってくれるのだ。
「ご飯を炊いて、具沢山のお味噌汁に、ソーセージとサラダにしようかな?」
 あとは何品か小鉢のおかずを用意すればいいだろう。
「よーし、ハンバーグは完成っと」
「お疲れ様、カミル。朝ごはんもすぐに作っちゃうね」
「なら、食器を用意するよ。それと、デザートの果物も切っとく」
「うん、ありがとう!」
 ふたりがかりで、あっという間に朝食の準備を終えることができた。食べ終われば、しあわせ食堂の開店だ。

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