しあわせ食堂の異世界ご飯4
 本当にいったいどうしちまったんだいと、エマはため息を吐く。周囲を見回してみるけれど、これといって変わった様子はない。
 近所の店はいつも通りだし、別段人通りが少なくなっているということもない。
「ん~……お店も落ち着いてるし、少し歩いてみるかねぇ」
 さてどっちに行こうかと考えて、とりあえず市場の方へ行ってみることに決める。それなら、ここから十分も歩けば到着する。
「それで何もなければ、帰ってくるかね」
 エマが歩き始めると、とある違和感に気づく。
「ん?」
 毎日見ている通りで、それは間違いないのだが……何かがおかしい。けれど、エマにはその答えがわからない。
 考え込みながら進んでいくと、人だかりを発見した。
「なんだい、あれは……」
 どうやらその場所は市場の入り口で、周囲の人は片手で持てるサイズの包み紙を持っていた。
「あ、そうか。見かける人みんながあの包みを持っていたんだね」
 手で持っているだけの人もいれば、口いっぱいに頬張っている人もいるようだ。
 だから不思議な感じがしたのだと、エマは納得する。
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