しあわせ食堂の異世界ご飯４

　エマの知っているサンドイッチとは違う形で、少し戸惑う。
　周囲を見ると、大勢の人が美味しそうに不思議な形のサンドイッチを食べている。どうやら、味はかなりいいらしい。
「なるほど、この包み紙は全部取らないんだね」
　食べる部分だけ包みを開けて、紙の部分を手で持って食べるようだ。確かにこれなら、手も汚れないし、片手で食べれるからとても手軽だ。
　パンの上部分をそっと持ち上げてみると、しっかりした味が付いている肉と、新鮮なレタスと玉ねぎが挟んであった。
「なるほど、確かにこれは美味しそうだね……」
　つい、ごくりと喉が鳴る。
　しあわせ食堂のカレー五〇〇レグよりお手頃価格ということもあって、人気が出たのだろう。それに今まで、パンに何かを挟むという屋台はなかったので興味本位という客も多かったかもしれない。
　食べる前に周囲に耳を傾けると、このサンドイッチの話題で持ちきりだった。

「めちゃ美味いな、肉のタレ」
　サンドイッチをふたつも持った青年が、幸せそうな顔で友人と話している。どうやら、すっかりサンドイッチが気に入ってしまっているようだ。