しあわせ食堂の異世界ご飯４
「なんでもロスタン公爵の屋台らしいぜ！　これがお貴族様の味、ってやつだな」
「そういわれると、高貴な味付けの気がするな」
　まさか貴族がこんな庶民向けの店を出すなんてと、話している。

　近くの露天商を見ると、サンドイッチを片手に持ちながら店番をしているところだった。
　普段なら昼休憩をするのだが、サンドイッチなら手も汚れないため店を閉めなくていいと判断したらしい。
　ちょうどお客さんの相手をしているところのようだ。
「なんですか、それ。美味しそうな匂いがしますけど……」
「今日の朝方できた、そこの屋台で売ってる新しいサンドイッチなんだよ。手も汚さずに食べられるし、客の対応時は紙で包み直せばいいしね」
　とっても画期的だと、店主は笑った。

　そんな様子を見て、エマはなるほどねぇと大きく頷く。
「この包み紙があるだけで、かなり利便性が上がるんだね」
　とはいえ、所詮は屋台で売っている軽食だ。これよりも、アリアの料理の方が美味しいと心の中で反論をする。
「ひとまず食べてみるかね」
　エマが大口を開けてかぶりつくと、パン、肉、レタス、玉ねぎ全部が一気に口の中に広がった。
< 82 / 202 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop