しあわせ食堂の異世界ご飯4
「あと少しだね。……でも、お客さんが並んでないからすることがないっていうね」
 お店も、お昼のピークが過ぎたので少しだけ空席がある。シャルルは一応お店の外を見てくれたようだが、やっぱり人はいないらしい。
 普段であればクローズの看板を用意し、並んでいる人に帰ってもらっていたのだが……その作業がないというのは、なんとも寂しいものだ。
「そういえば、エマさん帰ってこないね」
 シャルルから、外で何かがあるのかもしれないから見に行ってみるということだけは聞いている。かれこれ三十分以上戻ってきていないので、気がかりだ。
「確かに遅いなぁ……。ちょっと見てくるだけなら、十分かそこらで戻ってくると思うんだけど。もしかしたら、知り合いに会って道端でだべってるのかもしれないな」
「それはエマさんっぽいね。でも、さすがに仕事中にそこまで長居はしないと思うけどなぁ……」
 アリアがそう言ったタイミングで、カランとドアベルが音を立ててドアが開いた。どうやら、エマが帰ってきたようだ。

「あー! エマさんおかえりなさい!! 遅いから心配しちゃいましたよ~!」
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