しあわせ食堂の異世界ご飯４

　野菜も一緒にとることができるので、忙しいときに食べるならちょうどいいなと思う。
「この味なら、人気が出るのもわかりますね。でも、すごく突然ですね」
　有名な料理人が作ったと言われても不思議ではないので、ぽっと出で出せるものではないと思う。
　そもそも、この世界は生姜をタレとして使うこと自体がない。それを考えると、よくぞ思いついたとアリアは褒め称えたくなる。
（飲食店でも、生姜焼きは見たことがないし……）
　アリアもあまり人に振る舞ったことはない。
（この前、ライナスさんに生姜のライスバーガーの軽食は差し入れしたけど……）
　もしやライナスが始めた事業？　なんて考えが、頭をよぎる。しかしその考えは、エマの言葉で一蹴された。
「なんでも、ロスタン公爵の屋台みたいだよ。買った人が喋ってた内容だから、ちゃんと確認はしてないけどね」
　エマはこの情報の真偽は気にならないようだが、アリアにとったら大問題だ。
「えぇっ!?　ロスタン公爵様の屋台!?」
（ライナスさんはまったくの無関係だった……っ！）
「ああ。そりゃあもう、すごい人だかりだったよ」