しあわせ食堂の異世界ご飯４
　それなら王道の肉まん？　けれど、それだとしあわせ『食堂』のイメージから少し逸れてしまうような気もする。
（ほかに食べ歩きスポットといえば、観光地か……それか商店街？）
　昔からある商店街であれば、しあわせ食堂のようなお店が何軒かありそうだ。その雰囲気でできる食べ歩きといえば……。
「あ！」
　ピコーン！と、アリアの頭上で豆電球が閃いた。
「お持ち帰りできる商品として、『コロッケ』を作ろう！」
「コロッケ？」
　まったく知らない料理名に、エマとカミルは首を傾げた。形状もそうなら、どんな食材を使うかの想像もつかない。
「とりあえず、アリアが新しい料理を作るのはわかった。それが、しあわせ食堂に客を呼び戻す武器になるんだろう？」
「うん、きっとなると思うよ！」
　この世界は調理方法が少なく、『揚げる』ということは一般的ではない。つまり、すでに調理方法だけでも一歩前に出ている状態だ。
「食材ならすぐに調達してきてやるよ。何が必要なんだ？」
「えーっと、ジャガイモと、ひき肉と、玉ねぎかな？　あとは、ストックしてある調味料で足りると思うから」
「わかった」
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