しあわせ食堂の異世界ご飯4
「でも、ハンバーグみたいに丸めてから焼かないんだな。これだと、肉がパラパラしちゃわないか?」
 このままでは食べづらいと、カミルが言う。
「うん、だからね……こうするんだよ」
「えっ!?」
 アリアは炒めたひき肉と玉ねぎを、カミルが潰し終わったジャガイモの器へと入れてしまう。
「これを混ぜて、ハンバーグと同じ形にするんだよ」
「へぇ……ハンバーグの肉を少なくして、ジャガイモで補うのか。なんていうか、若干ヘルシーだな?」
 どうやらカミルはこれを丸めて焼いて完成だと思っているようだ。でも残念、今日は焼くのではなく揚げて料理をしていく。
 必死で混ぜるカミルの横で、アリアは鍋に油を入れる。次に、小麦粉、卵、パン粉を用意して並べる。
(この世界もパン粉が主流になったら便利だろうなぁ)
 アリアが使うのは、自分で作ったお手製のパン粉だ。
「あれ? これって、エビフライのやつだよな」
「そうだよ。エビフライだけじゃなくて、いろんな料理を作れるんだ」
「へえぇぇ……奥が深いな」
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