しあわせ食堂の異世界ご飯4
 しあわせ食堂から三分ほど歩いたところにあるこの雑貨屋では、一般の消耗品のほかに、日常生活で使う魔法具も取り扱っている。
 店主のおじいちゃんは、週に三回以上もしあわせ食堂にきてくれる常連さんだ。
 店内には水を浄化してくれる魔法具や、火を起こしてくれる魔法具があり、旅をする際にとても重宝する。決して安い値段ではないけれど、交通手段の限られたこの世界は道中が長くなることも多いので、購入する人が多い。
 逆に、この店には置いていないけれど、もっと大掛かりな厨房用の魔法具もある。いわゆる、現代でいうところの『電気』の代わりだ。
 まだまだ値段が高いため、一般家庭ではほとんど使われていないが、しあわせ食堂のような飲食店では設置されている。

「はぁ、見てるだけでも楽しいなぁ……魔法具!」
 アリアがうっとりした表情で眺めていると、カミルが同意するように相槌を打つ。
「わかる。俺も魔法が使えないから、魔法具には憧れる。でも、いい値段だからそうそう手は出せないんだよな」
 遠くに出かける予定もないし、一応厨房には入っているから……と、カミルは我慢しているようだ。
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