しあわせ食堂の異世界ご飯４

　念のためアリアは紙に触ってみたけれど、コロッケを包む紙にはどうも適さない。手が油まみれになってしまったと、苦情がきてしまいそうだ。
　アリアの反応を見たラグウは、普通の紙を引き出しに戻す。
「残りのふたつは、魔法具で加工した紙と、魔法具の紙じゃな」
「あ、魔法具で加工した紙がいいです！」
「それだったら、これじゃ。ゆっくり確認するといい」
「ありがとうございます、ラグウさん」
　出してもらった紙を手に取ると、つるりとした光沢があった。
　いい感じだと、アリアは思う。
　魔法具で加工された紙は、普通の紙と同じようにペンで書いたりすることができるのだが、水に濡れにくかったり、汚れにくいというメリットを持つ。
　そしてアリアが不要だと判断した魔法具の紙は、大事な契約のときに使う紙だ。たとえば、土地の契約や大きな事業を行うとき。この紙を使うと魔法契約が結ばれ、破った者には罰が与えられる。
「手で触った感じもつるっとしてるし、うん。問題ないと思うよ、カミル！」
（これだったら、油も手まで届くことはなさそう）