しあわせ食堂の異世界ご飯5
一 ふわとろスクランブルエッグ
一 ふわとろスクランブルエッグ

『しあわせ食堂、働き手の募集』
 ジェーロ帝国学園の厨房で働いてくれる人を募集します。料理などはこちらで手ほどきしますので、調理経験の有無は問いません。
 条件は下記の通り、希望者はしあわせ食堂のエマまで連絡を。
 募集:男女不問、若干名
 時間:朝~夕方(五日勤務後、ふつか休み)
 日当:一万レグ

 北に位置するジェーロ帝国の夏は、朝方は比較的過ごしやすい。けれど、火を扱う食堂ではその恩恵もあまり感じることはできない。
 窯からじわじわやってくる熱気が厨房全体に広がるのを感じると、クーラーがどうしても恋しくなってしまう。
「ふぅ……」
 アリアは額の汗をぬぐって、いち段落した仕込みを見てよしよしと満足そうに頷く。目の前にあるのは、スパイスのいい香りがする『カレー』、それから成形の終わった『ハンバーグ』、『ナポリタン』の具材用に切った野菜の山だ。
 ここはジェーロの街の路地裏にある小さなお店、『しあわせ食堂』。
 以前は閑古鳥が鳴いていたけれど、彼女――アリアが異世界の料理を作ったところ、行列の絶えない大人気の食堂になった。

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