しあわせ食堂の異世界ご飯5
そして料理をしていたのですっかり放置してしまったけれど、リズとカミルの飾り切りはどうなったのかとふたりを見る。
「うぅ、まったくうまくできません……」
「やばい、実が落ちた」
リズは慎重すぎて、まったく林檎が切れていない。逆に、カミルは力が入りすぎて必要な部分まで切り落としてしまったようだ。
うまくできずに落ち込むふたりだが、誰だって最初はそんなもの。
「大丈夫だよ、私も初めは似たような感じだったから。あとはもう、本当に繰り返し練習していくしか上達の道はないよ」
料理人の技なので、そう簡単に近道なんてない。アリアがそう言って励ますと、ふたりは俄然やる気を見せる。
「昼飯を食ったらまた挑戦だ!」
「わたしも一緒にやります、カミルお兄さま!」
(……しばらくデザートは林檎かな?)
そう考えると、できるだけ早く上達してほしいと思うアリアだった。いや、もちろん林檎は好きだけれど……。
店内のテーブルには、きのことレタスの肉団子スープ、パリパリに焼いた鶏肉、サラダ、パン、飾り切りの林檎と飾り切りに失敗した林檎が並ぶ。
シャルルとエマ、クウを呼んで遅めの昼食が始まった。