しあわせ食堂の異世界ご飯5
 なくなりそうになっている海老フライを大事に食べなければモードに移行しつつあったシャルルにとって、アリアからの提案は素晴らしいものだった。
 もっと海老フライが食べられると知ったら、すぐさまおかわりをしなければ海老フライに失礼だ。
「……うん。ちょっと追加で海老を揚げてくるから待ってて」
「ありがとうございます、アリア~!」
 席を立つアリアに、シャルルは全身を使って喜びをあらわにする。
「シャルルちゃんは本当に海老フライを美味しそうに食べるね。私なんか、それを見てるだけでお腹いっぱいになっちゃいそうだよ」
 エマが言った通り、シャルルは本当に美味しそうにアリアの料理を食べる。
「はい! アリアの料理は世界一ですからね。私は昔からずっと、アリアの料理が大好きなんです」
 エストレーラにいたころも、シャルルはよくアリアの料理を食べていた。
 そのお礼に、必要な食材がないときは調達係を担当した。主に山に生えている山菜や、猪や熊などの肉類だ。
 ふいに思い返したエストレーラの風景に、懐かしさが込み上げる。
 もしかしたら、もうあの場所に帰る機会はほとんどないかもしれない。そう考えると、アリアの手料理をもっと大事に食べなければ――そう思うシャルルだった。
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